GENBA NOTE

給湯器が壊れたけれど、交換しなかった話

少し前に、古い木造アパートで給湯器が動かなくなったので見てほしいという連絡がありました。

以前から何度か修繕を頼まれている建物で、住んでいる方とも面識があります。

相談された段階では、私も当然、給湯器を修理するか、新しい物に交換するか、そのつもりで現地へ行きました。

建築の仕事をしていると、何か相談されれば、まず工事をすることを考えてしまいます。

現地で確認すると、給湯器にはエラーが出ていました。

エラー表示が出ていた既設給湯器

かなり古い給湯器で、修理部品の供給もすでに終わっています。

修理できるかどうかは、専門業者に来てもらって見てもらわないと分かりません。ただ、結果的に直らなかったとしても、見に来てもらう費用はかかります。

新品に交換すれば話は早いのですが、当然、費用も大きくなります。

どうするのがいいかな、と考えていると、このアパートは現在使われているのが一室だけで、隣の部屋は空いていました。

そちらの給湯器は壊れておらず、しかも同じ型の物が付いています。お風呂も使える状態でした。

それなら、この給湯器を今使っている部屋へ移せないかと思いました。

専門業者に聞いてみると、年数が経った給湯器は、取り外す際に部品が壊れてしまう可能性があるとのことでした。

しかも修理部品の供給は終わっています。移設の途中で何か壊れてしまえば、直せない可能性もあります。

それなら、今使えている給湯器を無理に動かすのはやめた方がいい。

そこで今度は、「給湯器を動かすのではなく、人が隣の部屋を使ったらどうか」と考えました。

住んでいる方に、

「隣の部屋に引っ越したら?」

と話してみると、

「思い入れがあるから今の部屋がいいわ」

と言われました。

空いている部屋があるなら移れば済む、くらいに考えていましたが、今思えば、ちょっと簡単に考えすぎていたかもしれません。

私からはオーナーにも、隣の部屋を使う方法があるので、一度住んでいる方と話してみたらどうですか、と伝えました。

その後、オーナーと住んでいる方で話をして、最終的には今の部屋でそのまま生活しながら、お風呂だけ隣の空室を使うことで落ち着きました。

結局、給湯器は修理も交換もしていません。

最初は、壊れた給湯器をどう直すかということしか考えていませんでした。

もちろん、毎回こんな方法が取れるわけではありません。今回はたまたま空室があって、そちらのお風呂が使えるという条件がありました。

ただ、相談されたからといって、工事をすることだけが答えではないんですよね。

何を直すかだけではなく、今あるもので何とかならないかまで考えてみる。

今回は、給湯器を直す仕事にはなりませんでした。