GENBA NOTE

資格や経験を、何のために使うのか

先日、同じように地域で工務店をされている方の投稿を目にしました。

地域の工務店が減って、家電屋や設備屋がリフォームをするようになった。昔は業者をまとめる側だった大工が、今では他の業者に使われる一業者になっている。そんな状況に対して、大工としてもっと意地を持て、というような内容でした。

かなり強い言葉で書かれていたので、注目を集めるために、あえてそういう言い方をしているのかもしれません。一つの投稿だけで、その方が普段どんな考えでお客様と接しているのかまで分かるわけでもありません。

それでも、同じように地域で工務店をしている人の言葉として読んだとき、私はどうも引っかかりました。

最初は、大工が元請けか下請けかという話に違和感があるのかなと思ったのですが、少し考えてみると、そうではありませんでした。

大工としての立場やプライドが一番前に出ていることに、私は違和感があったんだと思います。

私も若い頃は、それなりに一生懸命やってきました。二級建築士や一級技能士の資格も取りましたし、一時期は大工を離れ、宮師の親方について神棚やお宮を作っていたこともあります。

その後、地元の仕事だけをしていると、自分の経験の幅が狭くなるんじゃないかと思うようになりました。

そこで、ハウスメーカーや他の工務店の仕事にも入るようになりました。

行ってみると、知らないことばかりでした。

それまで経験したことのない施工方法もありましたし、仕事の段取り、現場管理、業者同士の連携、監督という人が現場全体をどう動かしているのか。言い出したらきりがありませんが、当時の私には全部が新鮮でした。

もちろん、自分が大工として覚えてきた技術が役に立つ場面もありました。でも同時に、自分が知っていることが仕事のすべてではないということも分かりました。

今振り返ると、あの経験は大きかったと思います。

だからなのか、誰の下で仕事をするのかとか、大工がまとめる側であるべきなのかということを、私はそれほど重要には考えていません。

資格を取ったことも、親方について覚えたことも、いろいろな現場を経験してきたことも、自分にとっては大切なものです。

ただ、それを並べて「私はこれだけやってきました」と言うだけでは、お客様にとっての価値にはならないと思っています。

大事なのは、その経験を使って何ができるかです。

現場を見て、何が必要なのかを考える。自分でやった方がいいのか、専門の業者に任せた方がいいのかを考える。工事をする必要がないなら、しないという判断もする。

そこで初めて、今まで身につけてきたものが仕事として意味を持つんじゃないかと思っています。

大工が上なのか、設備屋が上なのか。元請けなのか、下請けなのか。

私はそこをあまり重要だとは思っていません。

商売をしている以上、まず考えたいのは自分の立場ではなく、この仕事で相手に何を返せるのかです。

職人としてのプライドが必要ないとは思いません。私にも自分なりの意地はあります。

ただ、そのプライドを守ることが仕事の目的になってしまったら、少し順番が違うんじゃないか。

同じように地域で工務店をしていても、仕事について考えたときに最初に出てくる言葉は、こんなにも違うものなんだなと、あの投稿を読んで思いました。